酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

独裁者グラナダ

独裁者グラナダ (キャラコミックス)

独裁者グラナダ (キャラコミックス)

才能がありながら何かに追いつめられたように行き急ぐ映像作家「成瀬邦彦」を主人公とし、それに振り回される編集者との中田のやりとりを軸に進む物語です。

この漫画家(杉本亜未氏)はひとの心を見据えその微妙な動きを描き出すことのできる作家だとは思いますが、絵柄のせいなのか、そのプロット重視(ややご都合主義的)の展開のせいなのか、私はなんとなく読みながら息苦しさを感じてしまいます。

本書にはこの作品の他に、難病の少年を扱った「Birthday」も収録されています。表題作よりもこちらのほうが、より無理のないプロットでかつ親しみやすい内容かもしれません。といっても子供+病気というのは扱われやすいテーマではありますが。

なお同時に同じ作者の「空のアンテナ (ジュネコミックス)」という本も読んでみましたが、表題作の「空のアンテナ」はありがちながら、まあ面白い作品だったのですが、残りの収録作である「スパングルトレジャー」は掲載誌廃刊による未完の作品ということを割り引いても破綻していて訳がわかりません(笑)。そもそもこれは商品の一部に含めるべきものでしょうか?無理矢理一冊単行本を作るための力技という気がします。

空のアンテナ (ジュネコミックス)

空のアンテナ (ジュネコミックス)