酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

物は言いよう

物は言いよう

物は言いよう

休刊した「噂の真相」に長期連載されていた「性差万別」に大幅加筆修正して出版された「性差問題考察集」です。著者の斎藤氏が世の中に溢れる言説を取り上げて、その言葉のもつ意味と影響を性差問題の観点から読み解きます。
とりあげられる言説には★印がついていて、その言説の「難易度」がわかるようになっています。

★ 思わず失笑を誘う天真爛漫なご発言
★★ ついつい納得させられる粉飾上手なご発言
★★★ いっけん進んで見える油断大敵なご発言

この本の価値は、ともすれば聞き流しがちなちょっとした表現をもとりあげて、それをうまくユーモアとともに語っているところですね。私も随所で苦笑せずにはいられませんでした。我が身を振り返っても★はともかく、★★や★★★レベルの発言ならうっかり言いそうだと思ったからです。
もともと性差の問題そのものがデリケートで、今でも問題視しようとするだけで「なんだ、つまらないことで騒ぎやがって、これだから女はユーモアがわからん」といった反応を招きがちです。
もちろん過剰反応という場合もあると思いますが、その過剰反応を導出した、私たちの現在の意識の多重構造を改めて考えるための良いヒントにもなると思います。