酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

夜のピクニック

夜のピクニック

夜のピクニック

以前「六番目の小夜子 (新潮文庫)」を読んだので、他にももう一冊読んでみようかなと思って買ったのがこれです。実は買ってから3ヶ月ほど積読だったのですが、最近本屋大賞なるものを受賞して少し話題になったので、積読山の下から抜き出して読んでみました。
ある高校の「歩行祭」という行事を軸に話は進みます。この歩行祭とは、文字通り午前8時から翌日の朝8時までの24時間の間におよそ80キロ程度のみちのりを歩くという行事でどうやら似たような行事が作者の恩田氏の高校にもあったらしいですね。
本書では、もちろん大事件が起きるわけではなくて、登場人物の高校生たちがいろいろな思いを巡らせながら、語り合いあるいは沈黙しながら肩を並べて歩き続けるという地味なストーリーが展開するのですが、やはり恩田氏らしいツボを押さえた「懐かしさ」が描かれているなと思わせました。すなわち現実の高校生をリアルに描いているというよりも、大人が昔を振り返って懐かしく思う高校生の姿が描かれているということですね。
若い時期特有の苦しさやせつなさそして喜びをゆっくりと思い出してみたい夜のお供に。
奇しくも今回本屋大賞2位に選ばれた「明日の記憶」と続けて読むと、長い人生ドラマに触れたような気になれるかもしれません(もちろん両作品の間には、直接的な関係はありませんけれど)。