- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/07/31
- メディア: 単行本
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ある高校の「歩行祭」という行事を軸に話は進みます。この歩行祭とは、文字通り午前8時から翌日の朝8時までの24時間の間におよそ80キロ程度のみちのりを歩くという行事でどうやら似たような行事が作者の恩田氏の高校にもあったらしいですね。
本書では、もちろん大事件が起きるわけではなくて、登場人物の高校生たちがいろいろな思いを巡らせながら、語り合いあるいは沈黙しながら肩を並べて歩き続けるという地味なストーリーが展開するのですが、やはり恩田氏らしいツボを押さえた「懐かしさ」が描かれているなと思わせました。すなわち現実の高校生をリアルに描いているというよりも、大人が昔を振り返って懐かしく思う高校生の姿が描かれているということですね。
若い時期特有の苦しさやせつなさそして喜びをゆっくりと思い出してみたい夜のお供に。
奇しくも今回本屋大賞2位に選ばれた「明日の記憶」と続けて読むと、長い人生ドラマに触れたような気になれるかもしれません(もちろん両作品の間には、直接的な関係はありませんけれど)。