酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

電車男

中野独人(著)
以前ここでも URL を取り上げた「電車男」が単行本化されました。2ch の掲示板上で繰り広げられた「純愛」物語が、ディスプレイではなく紙というメディアに置き換えられたときにどのような印象になるのかなと思いましたが、あまり違和感なく読むことができました。しかし既に数十万部を売り上げているようですが、どのような人が買っているのかが少し興味深いところですね。サイトを読んだことがある人が中心なのか、それとも噂を聞いて初めて紙として読む人が多いのか。
そもそものストーリィが実話なのかネタ(作り話)なのかという議論がネット上ではなされているようですが、どちらにしろ多くの人を巻き込んだ「舞台」が設定されて一時期多くの「観客」を惹きつけていたことには間違いありませんし、しかも知りきれトンボになることなく物語に「オチ」がつけられたということは事実です。たぶんよほどの偶然が重ならないと次の「物語」が綴られることはないでしょうが、それゆえに今回の「実験(さまざまな意味で)」はもう少し分析してみる価値があるのかもしれません。
2ch の文体は独特ですが、最近は普通の ML などにもそこで発明された表現が紛れ込んでいることがあります、そのうちの幾つかはやがて次の世代にも受け継がれて行くのでしょう。