酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

地名で読むヨーロッパ 講談社現代新書

梅田 修 (ASIN:4061495925)
ヨーロッパの地名には様々な歴史が刻まれています。たとえば「パリ (Paris)」という地名は、ヨーロッパの基底民族ケルトの一部族であるパリシー(Perisii) からとられたものであるそうです。そのパリシーは、ケルト語の par (船)に由来すると考えられていて、そのことがパリの紋章のデザインに表れています。
また、ドイツのボン(Bonn)、フランスのブローニュ(Boulogne)、イタリアのボローニャ(Bologna)は、ガリア地方のケルト語 bona(城砦)から派生した名前です。オーストリアの首都ウィーンのラテン語名ウィンドボナ(Vindobona)にも bona を見ることができます。これらの都市はいずれもケルト人の城砦を補強して古代ローマが駐屯地としたところです。
またイギリスの地名を見ていくと、ケルトアングロ・サクソン、ヴァイキング、ノルマンの影響のある地名が観察され、それだけでも昔の人々の往来が見えるような気がします。
本文はある意味薀蓄の垂れ流しで、メリハリがあまりないために、やや読みにくいともいえるのですが、ときどき適当な章を開いて地図帳を傍らに置きながら少しずつ読むと、楽しめると思います。私はついつい、まずケルト関連の項目を拾い読みしてしまいました。