酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

漱石の孫

夏目 房之介 (ASIN:4408321710)
ということで、昨日に引き続き「漱石」つながりで、夏目漱石の孫である夏目房之介氏の著作である本書を読んでみました。NHKの番組の企画でロンドンの漱石の下宿を訪ねた際に房之介氏が感じた「違和感」を出発点として、その意味を考えようとするものです。これまでの人生で、漱石の孫としての「居心地の悪さ」に、どのように折り合いをつけてきたかについての記述が多いのですが、少々冗長だったかもしれません。
ところで最後の方に引用されていた、漱石と鏡子夫人の間に交わされた書簡は、この若い(漱石34歳、鏡子23歳)夫婦の間にあったであろう信頼感と愛情が表れているようで、私には一番興味を惹かれた部分でした。