酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

ものづくり道

西堀 栄三郎 (ASIN:4898310761)
アカデミズムの世界から、物作りの先端企業に移籍し、量産型真空管を発明し、第一次南極越冬隊長を務め、日本の製造業の品質管理の礎をも築いた「伝説の技術者」による、創造性への考察です。以前に出版された「幻の名著」の復刊という位置付けです。
一技術者として面白く読めるのはもちろんなのですが、現在ではいわゆるMOT(技術管理)に関わる管理者、経営者の皆さん、そしてもちろん次世代の育成に関わる教育者の方々に読んで欲しい本です。「日本人に創造性はあるのか」という議論がときどき見受けられますが、うすうす気がつかれているように、より大きな問題は個々人の創造性のあるなしではなく、周囲の「創造性の芽を育てる力・意欲」があるかないかなのでしょう。