酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

ゲーム屋のお仕事―それでもゲーム業界を目指しますか?

島国大和 (ASIN:4839915490)
ゲームの「企画職」で生計を得る筆者が、日本のゲーム業界の内情について書いた本です。一通りの仕事の流れが解説されていますので、どのような人たちがどのような立場で、どんな仕事をしているのかについてのイメージを得ることはできます。
主にこの業界への就職を考える若者に「考え直せ」と言っているような内容なのですが(笑)、ゲーム開発ではないソフトウェア開発の立場にいる私の目から見ても、様々な開発上の問題が戯画的に凝縮されているような業界のように映ります。
読んでいて気になったのは、ゲーム業界には所謂「開発マネージャー」に相当する専門職が存在せず、往々にして企画職の兼務事項になっているように読めることです(誤解か?)。まあマネージャが仕事をしていなくても、現場の努力でソフトウェアが開発され続けている現実も多数存在していることを考えると驚くべきことではないのかもしれませんが(^-^;。
「企画職」はゲームの企画を通したら、左団扇というわけではなく、そのあと地道に「仕様」(ゲームの具体的詳細を開発者に伝える書類)をまとめる責務を負っている筈なのですが、なかには「俺は仕様書は書かない主義だ」と言い切る剛のものもいるとか。まあ他のソフトウェア開発の現場で言えば、画面のスケッチを渡して「これが仕様だ」と言い切るようなものでしょうか。
まあ一般の読者には、怖いもの見たさの欲求を満たしてくれる興味深い本だと思いますが…。