酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

アヒルと鴨のコインロッカー

伊坂幸太郎 (ASIN:4488017002)
最近ハマリ気味の伊坂幸太郎氏の作品。過去と現在を交互に描きながら、やがて一つの世界に収斂していく様をテンポ良く書いています。伊坂氏のミステリーは途中でネタバレ気味な場合があるのですが(まあ作者もそのへんは気にしていない風)、今回は少し驚きました。ハッピーでもアンハッピーでもない物語の中断。続きがありそうでありながら、どこにも続きようのないもどかしさ。
陽気なギャングが地球を回す」の登場人物の話がさりげなく出てきたりするところは、ご贔屓筋に対するサービスも怠りないというところでしょうか。ここまでで、「チルドレン」「陽気なギャングが地球を回す」「重力ピエロ」という順番で読んできましたが、並べてみると最新作の「チルドレン」で少しモチーフが変化したような気がしました。そういった意味で「アヒルと鴨のコインロッカー」は「チルドレン」以前の集大成という位置付けなのでしょうか。
モチーフは変化しましたが、響野、河崎、陣内という狂言回しの系譜は脈々と受け継がれているようですね(「重力」の「春」は少し違うかも)。私は好きなキャラクター達なのですが、わざとらしさが鼻につくという人も多そうです。