酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

カールじいさんの空飛ぶ家

ディズニー/ピクサーの 3D アニメーション。実は映画館でピクサーのアニメーションを見たのは初めてでした。
事前の知識を全く持たないまま見たのですが、とても楽しめました。
公開から時間が経っていたこともあって、劇場がそれほど混んではいなかったのが更に良かったです(笑)。

ストーリーそのものは、まあほのぼのファンタジーなのですが(結構ツッコミどころもあり)、最初の10分程度で主人公の少年期〜老年期までを一気に描いてみせるテンポの良さは、とても巧みだと思いました。泣かせどころもあります。実際この部分だけとりあげて別の映画にしても良いくらいで、一気に物語の世界へと連れて行かれることでしょう。典型的なアメリカ人の現代の苦悩もさり気なく描かれていると思います。そして人生の黄昏が訪れようとしたときに突如始まる大冒険という趣向です。

なんといっても登場人物たちの愛らしい表情が素晴らしいのですが、こうした演出に投入された技術のことを想像するとほとんど気が遠くなります。なまじ 3D アニメーションに関わっている人達が知り合いにいるだけに、この映画のどのシーンを取り上げてもその背後に隠された膨大な努力が感じられて(まあそうした努力は忘れて純粋に愉しむべきなのだとは思いますが)畏怖の念さえ憶えました。また技術と美術の間の線引きがどこで行われているのかにも大変興味が惹かれました。

以下に引用したのが、本作品の素敵な最初の部分(の一部)です。できれば映画館で一度鑑賞してからご覧になることをお勧めします。

ところで、この映画の原題は "UP" というのですが、これは流石にこのままでは日本の公開タイトルにはしにくいですね。
カールじいさんの空飛ぶ家」というのは悪くない邦題だ思います。
英語公式サイト:UP | Disney Movies

なお予告編で出てきたティム・バートンの新作「不思議の国のアリス」も面白そうだったので、少し映画館通いをしたくなりました。