酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

明治大正翻訳ワンダーランド

明治大正 翻訳ワンダーランド (新潮新書)

明治大正 翻訳ワンダーランド (新潮新書)

学問的な研究書ではなく、明治大正期のさまざまな翻訳家たちの作品を訪ねてその作品を味わいつつ、ゴシップなどにも目を配った読み物です。翻訳世界のトリビアネタ満載というところ。フランダースの犬の主人公が最初は「清と斑(きよしとぶち)」と訳出されたとか、実は本国ではあまり有名ではなかったこの話が日本で人気を博したため、日本からの観光客の期待にこたえるために、かの地に銅像ができたとか。
著者もプロの翻訳者であるゆえに、実感のこもったコメントを読むのもまた楽しい経験ですね。私のような「なんちゃって翻訳者」にも十分楽しめました。