- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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このため批判者からは「青臭い理想論」だの「ナイーブ」だのという言葉を投げつけられるハメになります。しかし、私は森氏の「だって変でしょ?そうじゃない?」という姿勢に共感します。
たとえば、一昔ならビザが切れて滞在を続ける外国人は、”オーバーステイ”に過ぎなかったのに、なぜ最近はことさらに「不法」滞在と呼ぶようになったのか…。またたとえば、「イラクの捕虜収容所で行われていた行為は、多くの欧米メディアでは torture とも報道されていたにもかかわらず、日本のマスコミは最も一般的な訳語である「拷問」をあてず、なぜ「虐待」という言葉を使うのか?」といった疑問を挙げています。google で "Abu Ghraib torture", "Abu Ghraib abuse" をそれぞれ検索してみると torture が48万件、abuse が60万件ヒットします。まあ、その意味では確かに「虐待」だけではなく、「拷問」を使う報道があってもよいではとも思うのですが…。この数字は検索結果をもう少し分析しないとはっきりしませんけどね。
森氏が最も懸念することは、麻痺/思考停止 です。そして如何に私たち人間が「麻痺」しやすい存在であるかを繰り返し語りかけてくる本なのです。