酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

大切なことは60字で書ける

大切なことは60字で書ける (新潮新書)

大切なことは60字で書ける (新潮新書)

昔、名コラムニスト*1の故山本夏彦が「一言で言え。どんな大切なことも一言で言えるはずである」という主旨の発言をしていました。この本は、文学ではない、実用のための文章をいかに読みやすく簡潔に書くか、について解説したものです。
私がかつて学校で習った文章の書き方といえば、せいぜい5W1Hをはっきりかけとか、起こったことを素直に順序だてて書け、といった程度で、それ以外の文章修行はすべて世の中の例文を模倣して行ったようなものです。
実はタイトルと違って、なんでもかんでも60字で書けと言っているわけでもなく、簡潔にそして効果的であるために、どのように文章を設計すべきかについて述べられています。長文のレポートを書くためというよりは、言わばA4一枚のダイジェストを如何に効果的に書くべきかが説明されているというところ。
本当は中学高校でこのような訓練を受けておくべきだと思います。ところで途中「日本語はわかるが、じゃんけんの事を知らない人に、じゃんけんを説明する文章を書け」という課題が出されるのですが、実はこうした課題を解く訓練はソフトウェア開発の要求定義のステージにも役立つだろうなと思いました。

*1:と、敢えて言い切ります。ファンなもので…