酔眼漂流読書日記

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pot calling the kettle black

Pot calls kettle black

pot calling the kettle black

自分の事は棚に上げて他人を批判する

 pot (鍋)が kettle (ヤカン)を「お前(ススで)黒いじゃねーか」と言って馬鹿にする様子を表している言葉です。まあ今どきの鍋やヤカンがススで真っ黒ということは滅多にないので、現実味を失いつつある言葉かもしれません。

要するに、「自分の事は棚に上げて他人を批判する」という意味になります。

英和辞書を見るとそのように書いてあるものが多いですね。

「どっちもどっち」、「目くそ鼻くそを笑う」という意味なのかな、つまり「お互いに黒いのに自分の事は棚に上げて相手を馬鹿にしている」という意味なのかなと思って納得しかけたのですが ...もう少し調べてみると以下のような説明を見つけました。

 

www.urbandictionary.com

この中を読むと

Many years ago, people used to cook over an open flame using copper kettles and iron pots. The copper kettles were usually polished after every use whereas the iron pots were not and remained blackened from the soot from previous cookings. Well someone got the idea that if the iron pot were alive and it looked at a nearby copper kettle, it would see a black image.

などと書いてあります。

 

つまり鉄の鍋(通常ススで黒い)が銅のヤカン(通常磨かれてピカピカ)のそばに寄ったら、自分の黒い姿が相手のピカピカの表面に映っているのに過ぎないのに、相手も黒いと思い込み「お前黒いな」とからかうだろうという事です。

 

ちなみに Wikipedia でこの言葉をひいてみると、そのもののエントリが存在しました。

The pot calling the kettle black - Wikipedia

ここの説明を読むと、自分の欠点を否定したい故に他人にそれを押し付ける、「投影」Psychological projection という話にもつながっていて、意外に深刻な話題が出てきます。

ここの説明の中にも以下のような詩が出てきます。

 

"Oho!" said the pot to the kettle;
"You are dirty and ugly and black!
Sure no one would think you were metal,
Except when you're given a crack."

「おやおや!」鍋がヤカンに言った

「汚くて、醜くて、真っ黒だ!

   ヒビでも入らなきゃ、誰も君を金属だなんて思わないね」

 

"Not so! not so!" kettle said to the pot;
"'Tis your own dirty image you see;
For I am so clean – without blemish or blot –
That your blackness is mirrored in me."

 

「違う!違う!」ヤカンは鍋に言い返した

「君が見ているのは、自分自身の汚い姿さ

  僕がピカピカなせいで - シミもキズもないから -

  君の黒さが僕の上に反射してるんだ」

 

要するにこのフレーズには2つの解釈があるようです

  1. 黒い鍋が黒いヤカンを馬鹿にしている(自分のことを棚に上げている、目くそ鼻くそを笑う)
  2. 黒い鍋がヤカンを「お前黒いな」と馬鹿にするのだが、実はそれは相手に映った自分の姿だった(投影)

はてさて、どちらが正しい(もしくは主要な)解釈なのだろうと思ったのですが、とりあえず Wikitionary によれば、両方の解釈があるが、1の方が多く、2の解釈はややマイナーであるという説明が書いてありました。

pot calling the kettle black - Wiktionary

ちょっと調べた範囲では日本語の解説では1の意味で書いているものが多くみつかりました。