酔眼漂流読書日記

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[本] 神様のカルテ 2

神様のカルテ 2

神様のカルテ 2

昨日ご紹介した「神様のカルテ」の続編です。前書が患者と医者の関係の描写に力を注いでいたのに対して、今回は「医者の苦悩」そのものに光が当たっています。文章はより洗練されているようです(編集側の力もかなり込められているのでしょう)。
医者もまた人間で、時には患者にもなり得るという視点が描かれ、前書よりも物語に深みが出ているような気がします。しかし、ある意味医療従事者側の楽屋落ち的な雰囲気が増していて、患者側からの感情移入が少ししにくい作品に仕上がったかもしれません。

それでも主人公とその奥方を始めとする、登場人物たちの性格がしっかりと書き分けられていて、心地良い読み心地になっています。また前著には出てこなかった「悪役」も登場し、物語へメリハリを与えています。

本書だけを読むと、おそらく途中出てくる「男爵」なる人物像が今ひとつわかり難いですし、本シリーズは1と2両者を揃って読んで初めて完成と言えるような気がします。是非週末にでも二冊揃えてお読みください。