酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

思考の補助線

思考の補助線 (ちくま新書)

思考の補助線 (ちくま新書)

茂木健一郎氏の脳の議論はいつも楽しく読んでいます。
さて、この本は同氏による知的状況に対するアジテーション(あるいは知的苦悩(?)の表明)という位置付けでしょうか。日本の(あるいは世界の)知的状況を憂い、自分の立ち位置を表明しています。
その立ち位置とは「世界を引き受ける思想を紡ぎたい、しかしそれは途方もなく難しい、しかし物理の世界、哲学の世界を彷徨った果てに、世界を認識する『脳』のありように肉薄することが、世界を理解するための鍵であると思うに至った」といったところでしょうか。
こうした知的苦悩あるいは知的状況に対するアジテーションはどこかで読んだような記憶があるなぁと思いながら読んでいたのですが、思い返してみると読んでいるときの感覚が以下の本に似ていると思いあたりました。
新教養主義宣言 (河出文庫)

新教養主義宣言 (河出文庫)

ある意味「青臭い」議論なのですが、青臭い議論が死に絶えがちな近年、むしろ貴重な本であると思いました(と書くとなんだか年寄りじみていますなぁ)。