酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

モラルハザードの構造

確かにわかりやすい原理です

道徳律というのはわかりやすいものである。
それは世の中が「自分のような人間」ばかりであっても、愉快に暮らしていけるような人間になるということに尽くされる。
それが自分に祝福を贈るということである。
世の中が「自分のような人間」ばかりであったらたいへん住みにくくなるというタイプの人間は自分自身に呪いをかけているのである。
この世にはさまざまな種類の呪いがあるけれど、自分で自分にかけた呪いは誰にも解除することができない。

モラルハザードの構造 (内田樹の研究室)

人生には良いときもあれば悪いときもあります。いまたまたま「良いとき」を迎えているだけのひとが、その永遠性を仮定して価値観を決定するということが、モラルハザードなのでしょう。安易な「自己責任論」の害はすべてここに発しますし、若者のホームレス虐待等も、固定した価値観(相手の立場と自分の立場の間にある、意外な程の距離の近さに対する無知、無関心)も同根です。