酔眼漂流読書日記

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お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践

お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

昨日は「段取リテラシー」の解説書を紹介しましたが、今日ご紹介するのは「金融リテラシー」の解説書です。
およそ私が個人的に今まで読んだ一般人向け投資指南書の中で、最も正確かつ平易かつ実践的に書かれた本です。投資に関しては毎日のように「素人の主婦がFXで何億儲けた」とか「これからはインド中国株で大儲けだ」と言った刺激的で景気の良い見出しが夕刊紙や週刊誌に踊っています。
しかしそれは単に雰囲気に流された「レミングの行進」に過ぎないことを、本書は科学的根拠とともに教えてくれます。

本書では、まず金融リテラシーの必要性を説き、次に各商品の基礎知識を伝授した後、長期的な視野に立って投資活動に取り組むために、「まず取り組むべき練習課題」を段階を追って提示してくれます。どんなに経験をつんだプロでも安定した運用成績を挙げ続けることは至難の業です。結局リターンを管理することはできず、私たちにできることはせいぜいリスクを管理(←これもまさに「段取り力」が腕をふるう場所です)すること位です。
本書はそうしたリスク管理をするための基礎知識を統計的、科学的な裏付けを使って伝授してくれるのです。

中途半端に国内株式取引等を行っていて「どうも運用成績が伸びない…」と思っているひとの近視眼的な視野を大きく広げてくれる役割を果たしてくれることでしょう。恥ずかしながら私もこの本を読んで、自分のポートフォリオを全面的に見直してみようという気になりました。

リスクを管理しながら、今すぐにコツコツと投資を始めれば、20歳位のひとならそれほど無理はせず、引退するまでに十分以上の金融資産を残すことも可能でしょう。先行き不安な時代だからこそ、若いうちから基礎知識として知っていて欲しい(知るべき)ものです。