酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

温泉ガス中毒事故その後

昨年末(29日)に、秋田の温泉で一家4人が硫化水素ガス中毒でなくなった事故のことを覚えていらっしゃる方も多かろうと思います。
本日この関連記事を見つけたのですが…。

http://mytown.asahi.com/akita/news.php?k_id=05000000601290003

記事の書き方の問題だとは思うのですが、一つ気になることがありましたので、書き留めておくことにします。上記の新聞記事の中には以下のような部分がありました(記事が消えてしまったときのために一部コピーします。また記事中の「夫婦(鉄雄さん、とよ子さん)」とは温泉宿を経営する地元の方です)。

 夫婦の生活は事故前と変わらない。家の外も出歩くし、不便さは感じないという。湯沢市の市街地に住む娘は「みんな心配しているし、下りてくれば?」と勧めるが、夫婦の決意は固い。
 とよ子さんは50年ほど前に結婚して、ここに来た。そのころから、今回の事故現場付近はガスが濃いため、近づかないよう言われていた。
 現在、湯沢雄勝広域市町村圏組合消防本部が月、水、金の週3回、ガス濃度を測定している。27日の測定では、人体に影響を及ぼすとされる10ppmを超えるガスは検出されなかった。市も、近く避難勧告を解除する方針を決めた。

 だが、鉄雄さんには喜びも驚きもない。「元々避難する気もないし、関係ないと言えば関係ない。専門家がそれなりの判断をしたのだろうが、危険な個所に行かなければ大丈夫ということは、こっちは前からわかっていた」

このことから読み取れることは、少なくとも地元の人々の間では「危険なエリア」に関する認識は「しっかりとあった」ということです。では、その危険性は温泉宿にやってくる「普通の客」にもしっかりと伝えられていたのでしょうか?経営側はその努力をしていたのでしょうか?記事からはそうした点に関する答えは得られませんでした。
これからの検証によって、もっと事態がはっきりすると良いのですが、もし常識的な予防策(危険エリアの明示や柵で囲うなどの措置)が講じられていただけで4人の親子の命が失われなかったのだとしたら、この事故は半分人災のようなものですね。とても残念です。

追伸:

なお私がこの事故に関心があるのは、亡くなった父親が私の大学時代の同級生だったからでもあります。合掌。