酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

百物語

百物語 (新潮文庫)

百物語 (新潮文庫)

百本の蝋燭を立て、一つ怪談を話すたびに蝋燭を消していくと、最後の蝋燭が消された折に魔が立ち現れるという俗説に沿った趣向で、江戸の街を舞台にした「怪」を連続して描いた作品です。作品は長いものから短いものまでよりどりみどり。「座敷女」や「Sink」のような生理の奥に忍び込んでくるような恐さというよりも、人智を超えた魔の世界を垣間見て半ば敬虔な気分になる恐さというべきかもしれません。