酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

All Small Things

対岸の彼女」で直木賞を受賞した角田氏の短編集です。肝心の「対岸の彼女」の方はまだ積読のままなのですが*1、こちらを先に手に取りました。角田氏の作品を読むのは初めてです。
テーマは「心に残るデート」ということで、あの手この手の一風変わったデート話が、登場人物によるリレー形式で語られて行きます。テンポは良く、語り手のこころの動きも軽やかに描かれていて、好感が持てました。この本が面白いのは、一度雑誌に最初の12話分が掲載されたあと、読者のごく短い体験文を集めてさらに収録してあるところです。またその後に、投稿を受けての作者による短編が一つ書かれて、全体が構成されています。
この作者は、まるで呼吸をするように文を紡ぎだす人なのだなと思いました。積読の本を読むのが楽しみです。

*1:直木賞受賞の遥か以前に、買っていたのに読んでいなかったというお粗末