酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

59番目のプロポーズ キャリアとオタクの恋

59番目のプロポーズ キャリアとオタクの恋

59番目のプロポーズ キャリアとオタクの恋

もともとmixi の中の日記として書かれていたものです。mixi の知り合いから紹介されて、既に mixi 内では読んでいたのですが、今回本として出版されたので改めて紹介します。
内容は…まあありがちな恋愛ものという括りではありますが、登場人物が面白い。特にオタクとして描かれる 59番氏 は、確かにオタク的な言動をとりながらも同時にグレイシー柔術の使い手だったりして、普通に想像される不健康系とは一線を画した人物です。
しかもその直球勝負ぶりが世慣れた(つもりの)高学歴キャリア女性の価値観をガラガラと突き崩していく様子がユーモアたっぷりに描かれます。もちろん面白おかしいエピソードだけではなく、それぞれの苦しい過去にも触れられていて、そうしたものの配置がなかなか巧みだと思いました。
この図抜けて面白い男性キャラを相方の女性がうまく観察し、作品として昇華するという組み合わせは…そう作品のテイストは全く違いますが「ダーリンは外国人―外国人の彼と結婚したら、どーなるの?ルポ。」を髣髴させる構造ですね。
オタクとお洒落な女性の恋物語ということで、しばしば「電車男」と比較されるようですが、「面白さ」のレベルではこちらのほうが遥かに勝っていると思います。
まあ1500円出してこの本を買うべきかと言われると微妙な線ですけどね(文章量も少ないので)。文庫本を待つか mixi の中で読むのが良いかもしれません。