酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

プリンシプルのない日本

プリンシプルのない日本―プリンシプルは何と訳してよいか知らない。原則とでもいうのか。

プリンシプルのない日本―プリンシプルは何と訳してよいか知らない。原則とでもいうのか。

西洋式の教養を身につけながら、まるで武士のような矜持を誇る、と言えばいいのでしょうか。まあ和魂洋才と言うとあまりにも古すぎるとは思いますが。
白洲次郎氏自身の著作を読んだのは実は初めてで、いままで評伝としてしか読んだことのなかった白洲氏の凛とした人柄に触れたような気がしました。氏の文章はいずれも簡潔で、表題にもある通り「プリンシプル(原則)」に裏打ちされています。しかも借り物の言葉ではなく、自身の生活の中で実際に見聞し、考察した知見を基礎に非常に実際的な提言や、「いちゃもん」を述べていくことが、重みをもって読者に迫ります。
国会議員、役人、教育者、報道、大企業などなどに対する直言は21世紀の今になってもますますその意味を増しているような気もします。こうした議論ができる人材を多く生み出せるか否かが、これからの鍵のような気がします。

以下に掲載したのは、白洲氏の遺書で、極めて簡潔なことで有名なものです。