酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

ナニワ金融道 あいつら、ワシの金ヅルやの巻

コンビニで売られている再編集本です。なんとなく手にとって頭の数ページを読んだらそのまま買うハメになってしまいました。もともとのお話の中でも一番手が込んでいた「ゼロ号不渡り」を巡る攻防が描かれています。最近青木雄二氏の遺伝子を引き継いだ漫画がいくつか発表されていますが、久しぶりにオリジナルの青木氏の作品を読むと、ヘタウマとしか言いようのない濃密でオリジナルな絵に改めて驚かされます*1
絵柄に負けない濃いストーリー展開も特徴ですが、この濃さは決して絵空事ではなく、自営業、中小企業の実態と金融会社の関係をリアルに描けばこうならざるを得ないとは思います。ただ描き方によって果てしなく陰惨になりかねないネタを、ユーモラスに描くことに成功してこの「ナニワ金融道」は傑作となったのでしょう。
ただこの作品に欠点が一つあるとすると、やはり「面白すぎる」というところでしょうか、主人公の勤める帝国金融も相当エゲツない会社の筈ですが、主人公の活躍に思い入れが過ぎると想像力のない人などは楽しく作品を読んだ挙句「借金ってそれほど怖くないのかも」と思ってしまうかもしれません。
そういった意味での「教育効果」が今望めるのは、現在ビックコミックスピリッツに連載中の「闇金ウシジマくん 1 (ビッグコミックス)」でしょうか。このコミックは全く笑えません。気の弱い人は読まないほうが良いとも思いますが、自分がひょっとすると「借金体質じゃなかろうか」と思える人は、一度読んで怖ぁ〜い思いをした方が良いかもしれませんね(^-^;。まるで究極の選択。

*1:実際連載されていた頃は、あまりのアクの強さに、途中まで食わず嫌いで読んでいなかったのです