酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

けなす技術

けなす技術

けなす技術

というわけで、「切込隊長」こと山本一郎氏による、ブログを中心としたネットワークコミュニティの位置付けを考察した本です。
山本氏は投資家であり経営コンサルタントでもあり近年は人気ブログ「http://kiri.jblog.org/」でも有名な人物です。山本氏の書く文章は絶妙な悪口芸で構成されているため、この本を買う人のなかにはそうした「悪口芸のノウハウ」が詰まっていることを期待する向きもあるかもしれませんが、実際にはそうした内容ではなく*1、アクセスが集中する人気ブログ著者としての実体験に基く感想と、ネットワークプレーヤー達の思惑と行動を分析した本です。すなわち決して「けなす技術」を論じた本ではありません。
たとえば、若年層の空前の失業率は中高年の雇用「利権」保全の裏返しであり、そうした文脈から読み解く「暇で無能でもない大量の若者が、簡単な扇動により糾合していく心理」を分析したクダリや、実験サイトを作ってアクセス数などを推移を分析した話、ネットワークの有名人の人気ライフサイクルの話などなど、なかなか興味深いものでした。
とはいえ、もし「悪口芸」のノウハウに興味がある方は、昨日紹介の「イケズの構造」を読んだほうがよいでしょう(笑)。

*1:山本氏のブログや他の本と比べても、悪口含有率は低い