酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

百年分を一時間で

百年分を一時間で (文春新書)

百年分を一時間で (文春新書)

事務所に積まれた本を整理していたら発掘したので、思わず再読してしまいました。新聞嫌いだった山本夏彦氏の不思議なユーモアを湛えたエッセイのファンでした。主張も明快で簡潔であり、その文章には知らず知らずのうちに影響を受けていると感じることもあります(まぁ、それほど文章が上達したわけではないので、不肖の弟子のようなものですが)。亡くなられたことは本当に残念でしたが、あまりこんなことを言うと山本氏に笑われてしまうに違いありません。
なにしろ山本氏はエッセイの中で「私は生きているひとと、死んでいるひとを区別しない。すべての優れた著者とは本を通して知り合っていて、その意味で永遠に死ぬことがないからだ」と繰り返し述べていたのですから。