- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2005/01
- メディア: 新書
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起源といっても、対象の発明の経緯そのものが書かれているというよりも、多くは「日本へ導入されたときの事情」といった内容が多いので、もっぱら歴史的な読み物として楽しむことができます。取り上げられているのは「解剖」「スキー」「石鹸」「洋食」「アイスクリーム」「傘」「国旗」「幼稚園」「マッチ」「電話」「蚊帳・蚊取り線香」「胃カメラ」「万年筆」といった本当に身近なものばかり(もはや「蚊帳」は身近ではなくなってしまいましたが)。
スキーはノルウェー語で「薄い板」という意味だとか、花王石鹸は「顔」を洗う石鹸であるところから命名されたとか、日本でマッチ産業を興した人物がさらに製品改良をするために、海外で産業スパイもどきのことをしたことととか。トリビアネタにしてもよさそうな話も含まれています。まあ気軽&手軽に読めますので、読書時間がコマ切れにしかとれないときにでも大丈夫ですね。個人的には政治を中心とした歴史よりも、こうした技術や経済的な側面からみた歴史のほうがずっと興味深く読むことができます。