酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

百年の誤読

百年の誤読

百年の誤読

装丁を見て、「ははぁ、これは『百年の孤独』のもじりだな」と思ったアナタは、お酒好きです(笑)。
まあ内容はお酒とは無関係で、この本は読書家の二人が1900年から現代に至るベストセラー(昔は正確な統計がなかったので、当時話題になった本からセレクト)を取り上げて、歯に衣着せぬ辛口書評を対談形式で繰り広げたものです。
一般にツボを押さえた悪口というのは面白いのが相場なので、この本も分厚い割にはスルスルと読まされてしまいます(まあ必ずしも悪口ばかりではなく、褒めているものもありますが)。もともとダヴィンチの連載だそうで、書評誌を読まない私は知りませんでした。
まあ時代が下るにつれ、俎上に載せられるベストセラーも段々小粒になってきますので、悪口の切れ味も鈍りがちな感もありますが、最初の60年分ほどに取り上げられている本の中には、悪口を面白く読みながらも、自分で実際に読んでみたいと思わせるものも何冊かありました。
一つだけ残念だったのは、対談のお二人の視点が徹頭徹尾、「現在」に置かれていることでした。昔を振り返って悪口を言うのは言わば後出しジャンケンのようなものですから、何でも言えるのですが、ときにはその本が出た時代背景への言及があってもよかったかも知れませんね。