鉄子の旅

鉄子の旅 (1) (IKKI COMIX)

鉄道ファンのことを「鉄っちゃん」「鉄オタ」あるいは「鉄」などと呼ぶ習慣がありますが、このコミックは筋金入りの「鉄っちゃん」横見浩彦氏の先導の下、鉄道に全く興味のない漫画家菊池直恵氏がともに各地の鉄道の駅めぐりをするという、大変マニアックな内容のルポマンガです。
この横見氏２５歳で既にＪＲ全線を制覇したそうなのですが（現在４２歳？）、それだけでは物足りずＪＲ全駅での乗下車を達成。そして現在は全私鉄全駅の乗下車に挑戦中（２００５年初頭に達成予定）というツワモノで、鉄道関係のイベントでは、他のマニア諸氏にも「横見先生」と呼ばれるほど。この横見氏の「暴走」に振り回される漫画家と編集者の姿をほとんどギャグマンガのノリで描き出すというのが基本的なパターンです。
最初編集者から「鉄道の旅マンガの企画があるんですけど…」といわれた菊池氏は「グルメと観光の旅をして、しかもマンガを描くこともできるなんて美味しい仕事」と思うのですが、直ぐにそれが甘い誤解であることがわかります。待っていたのはひたすら鉄道に乗り、駅に降りまた乗ることの繰り返し。ゲストが参加したり、廃線イベント見学に行ったりという変化もありますが、優雅な旅＆グルメとは無縁のノリに戸惑う漫画家の視線がオフビートな可笑しさを演出しています。
万人向けではありませんが、マニアの生態に興味のある向きにも。
なお、横見氏の全駅制覇プロジェクト進行状況はサイト「横見浩彦WEB鉄道」で確認できます。１２月２６日付けであと「８６駅」とのこと。