酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

「稼ぎ力」ルネッサンスプロジェクト 稼ぎ力養成講座Episode1

渋井真帆 (著)
先日読んだ「あなたを変える「稼ぎ力」養成講座 決算書読みこなし編」が面白かったので、この本も読んでみました。内容は小説仕立てで、社会に対して不平不満は山ほどあるけど、どのように社会で活躍すればわからない女性が、夫のアドバイスにより自らをブートストラップしていき、最後は起業して成功の端緒を掴む。という一種のビルドゥングス・ロマンです。
主人公は著者自身に擬されていますが、もちろん読者に親近感を湧かせるための脚色としての挿話が数多くちりばめられています。その意味でもちろんこの本は小説でもなく、単なる自伝(自慢話)でもありませんし、成功のための直接的なノウハウ本というわけでもありません。親切すぎるのでは?と思えるほど「経営者視点」の重要性を繰り返し説こうとする本です。なお、ここで言う「経営者視点」とは、特に既存の会社組織の経営者だけを指すものではなく、簡単に言えば自分の人生そのものの経営をも含んだ「自立の視点」に他なりません。実はこうした視点を若いうちに(例えば20歳前位に)獲得/学習できるような機会/機構が社会にあるといいんですけどね…。
演出効果やストーリー展開などについて著者は注意深く計算し、読者を牽引して行きます。著者の渋井氏は多分にカリスマ性もある人間なのだろうと思います(一部では「渋井教」なる言葉もあるようですが、そうした「信奉者」を生み出す理由も、まあわかります)。マスコミの好餌になりそうな感もありますが、うまくバランスをとりながらやっていって欲しいと思いました。
若い女性に向けて書かれているようですが、男性にも得るところは多いのではないでしょうか。 一部の内容は以前ここでご紹介した「いきいきする仕事とやる気のつくり方―幸せなITパーソンになるための」の「女性版」として読むこともできると思います。