酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

返事はいらない 新潮文庫

宮部 みゆき (ASIN:4101369135)
宮部みゆき氏の作品を読むのは初めてでした。なにから読んでみようかと思いながら、この初期の短編が収録されている文庫本を選んでみました。
一般的に「ハートウォーミングストーリー」という属性で呼ばれるらしい宮部氏の作品なのですが、全部で6編の短編のうち3編(「ドルシネアにようこそ」、「言わずにおいて」、「聞こえていますか」)は、設定に無理がありすぎるかなぁという感想 (^-^;。この作品集は宮部氏の習作という位置付けなのかもしれません。残りの3編(「返事はいらない」、「裏切らないで」、「私はついてない」)は破綻もなく、大変面白く読ませていただきました(もちろん破綻のないことのみを評価しているわけではありませんが)。登場人物の微妙な心の揺れ、薄紙をはがすように明かされていく真実などの描写が、読者にとって手に汗握る物語として構成されています。
次はより新しい長編を読んでみようかなと思っています。