酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

笑わない数学者―Mathematical goodbye 講談社文庫

森 博嗣 (ASIN:4062646145)
犀川、西之園コンビによるシリーズ第3弾。だんだん仕掛けも大きくなってきました。シリーズ最初の2冊と、森氏と哲学者の土屋氏との対談本を読んだせいか、森氏の好きな「論理」がわかってきたような気がします。特に今回の「仕掛け」は事件が起きた段階でわかりました。といってもそれで興ざめというわけでもなく、「コロンボ」を見ているときのような気持ちで楽しむことができました。しかし逆に「動機」の方にはより多くの謎が残されたような気がします。まだ全ては語り尽くされてはいません。もちろんここまでの3つの事件(孤島の研究所、大学の低温実験室、天文台を改造した住宅)相互に、直接の関係を示唆するものはまだ語られてはいませんが、状況と仕掛けは抽象的なレヴェルで類似であることが示されています。そして多分動機も?