酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

冷たい密室と博士たち 講談社文庫

森 博嗣 (ASIN:4062645602)
ということで、森博嗣氏の2冊目です。解説にも書かれていましたが、この本は確かにオーソドックスなミステリという印象を受けました。実際の執筆順で言えば、この本が一番早い時期に書かれたそうですので、その意味では最初にこの長さの小説を最後まで書き切る力量は素晴らしいと思いました。この文庫の解説にも書かれていましたが、森博嗣氏と京極夏彦氏は「新しい種類のミステリ」と位置付けられているようですね。確かに相当にロジカルな構成だと思います(まあそれだけに、早い時期にトリックが判明してしまうという印象も受けるのですが… :-)、やはりシリーズ10巻を読破せざるを得ないようです。
ともあれ犀川助教授と西之園萌絵のコンビもなかなか魅力的に思えて来ました。世間では犀川助教授は極めてクールな人物として受け止められているようですが、個人的にはなかなかウェットな性格だと思いますね。少なくともチェーンスモーカーである時点で(笑)。

ところで

ストーリー上はトリビアルであるものの、「すべてがFになる」も本書も、それぞれどうしても設定上納得できない部分があるのですが、このあたりは是非筋金入りのミステリファンの方に教えていただきたいところです。