酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

カクテルブルースin N.Y.

エルベ・ル=テリエ (著), 植田 洋子(訳)(ASIN:4763094327)
本書は 1986年から3年間、フランスの週刊誌「レヴェヌマン・ドゥ・ジュディ」に好評連載されたショートショートの中から厳選されたものです。当時はウルサ型のフランス人インテリ層に絶大な人気を誇っていたそうです。
内容はニューヨークのジェイズバーという場所で起きる、ささやかなエピソードを42編のお話にまとめてあります。すべてのストーリーには特定のカクテルの名前が副題としてつけられていて、該当するお話の中にも登場します。
フランス人の考えるアメリカ人の姿も垣間見ることもできて面白い一冊です。なお著者はパリ在住(当時)のフランス人数学者であるというのも興味をひきます。また本書には一編一編、とても洒落たイラストが添えられているのですが、この連載当時のイラストを手がけたのは、訳者でもある植田洋子さんです。植田さんご自身もパリに住んで美術系のお仕事をなさっているようですね。

カクテル → バー → ニューヨーク → パリ。と材料が揃ったところで、以下のような逸話を思い出しました。これも北村薫氏の「詩歌の待ち伏せ」で読んだものです。