酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

覆面作家は二人いる 角川文庫

北村 薫 (ASIN:4043432011)
円紫師匠と「私」シリーズを読み終えたので、今度は新しいシリーズに手を出してみることにしました。今度の主人公は「覆面作家」というペンネームの推理作家とその担当者というコンビが様々な謎を解き明かすお話です。この「覆面作家」氏が、深窓のご令嬢でありながら、極端な「外弁慶」であり、お屋敷の敷地を一歩出ると性格が豹変するという設定で、それだけ見ると無茶苦茶な設定なのですが、それ以外の部分がリアリティをもって書かれているために、読者も自然に謎解きの世界に巻き込まれていくことになります。
先のシリーズとは違い、今度のシリーズでは殺人事件も起きます(主人公の担当者の兄も刑事で、ストーリーに絡んできます)。
解説を宮部みゆき氏が書いていますが、その冒頭に「本格原理主義者。ここ数年、わたしたちの年代のミステリ作家仲間のあいだでは、北村薫さんをこの尊称でお呼びするという習慣が定着してしまいました」と書かれていて、この作家のひととなりにますます興味が湧いて来ました。
実のところ既にあと7冊ほどが入手済みで読書キューの上位に載っていますので、しばらくは北村薫尽くしになりそうです。