酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

イラクの中心で、バカとさけぶ

橋田信介 (ASIN:4776201321)
先日イラクで落命した戦場カメラマンの「イラク戦争取材レポート」です。今回の殉職報道などでの報道のされかたをみていると、ジャーナリズムに命を捧げた熱血漢だったのだろうか?と思わせるものもあったのですが、この本を読んでみると、なかなかどうして、飄々としたその「こだわらなさ加減」がいっそ痛快です。
この著者が戦場に出没する理由は、ただ実際に起きていることをその目で確かめて報じたい、そうした行動に身を駆り立てなければ自分自身の背筋を伸ばし続けることができない、といった極めて個人的な決意が基礎にあるのでしょう。しかし、そうだからといって、生み出された仕事の価値がいささかでも減じられるものではありません。
仕事に対して愚直に取り組むその姿が、「仕事人」としての誇りを感じさせてくれます。いかにもわざとらしいこのタイトルはご愛嬌というものでしょう。

いまはただ、ご冥福をお祈りします。