酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

Objects First With Java: A Practical Introduction Using Bluej (BOOK & CD)

David J. Barnes, Michael Kolling (ASIN:0130449296)
BlueJ というソフトウェアを使った Javaオブジェクト指向についての教科書です。BlueJ はオブジェクト(インスタンス)を「直接」操作しながら教育をすすめていくことができるユニークな環境ですが、うまく使うことによって、学習者を素早くオブジェクトの概念に慣れさせていくことが可能です。
多くの Java の教科書は「残念ながら」Hello World で例題を始めることが多いのですが、私見ではそのように static void main 手続きの中から文字列を出力することから教育を始めるから、オブジェクト指向に対する理解がなかなか深まらないのでは、と思ったりもします(←もちろん偏見ですけど)。
これに対して BlueJ はタイトルにもあるように "Object First" すなわち、なによりもまずオブジェクトを先に捕まえておき、それに対して色々メッセージを送ってみる、その瞬間のオブジェクトの中身を「解剖」してみるといった手法をとることにより、オブジェクトと自然に「戯れる」ことを可能にしています。CD が付属していますが、http://www.bluej.org/ から最新版がいつでもダウンロードできますので、そちらを参照した方が良いでしょう。
こうした環境は Java などでは珍しい部類に入るのですが、実は 元祖オブジェクト指向環境 Smalltalk では、当たり前のように実現されている世界でもあります。この本で BlueJ のような環境に興味をもたれた方は、次は SqueakVisualWorks といった Smalltalk 処理系を眺めてみると面白いと思います。

既に海外では有名ですが、日本ではいまひとつ盛り上がりに欠けるようですね… なおhttp://www.bluej.org/ の告知によれば6月28日に、上記の本の第2版が出版されるとありますので、実際の購入は少し待った方がよいかも知れません。