酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

土壇場の経済学

青木雄二, 宮崎学ASIN:4877288716
最初1998年に出た古い本です(リンクは文庫版のもの)。個性の強い二人の著者による借金を巡るエッセイ。対談形式ではなく小さな章を交互に書き継いでいく形式になっています。宮崎氏の書く内容はいまでも「実用性」に富んでいますし、故・青木氏の癖のある文章も、単独の著書のものよりむしろテンポ良く進んでいるような気がします。
それにしてもカジュアルな「借金観」の形成は、お金を貸す側の思惑通り近年すっかり定着しているようですね。これが慢性的自転車操業に陥る層を増やす一端になっていることは間違いないでしょう。仮に現代のお手軽貸し金システムの陥穽を指摘しても「自己責任」の名の下に一笑に付される今日この頃です。
確かにお金の恐ろしさを認識できない側にも罪はあると思いますが、落とし穴が増えればそれだけ確率として抜け出せない落ちる可能性も増えていくことでしょう。まあどうせ自己責任と言われてしまうなら、お金を借りようとする人には、せめてここで紹介した本の内容程度は理解しておいて欲しいものです(とはいっても追い詰められると人間は弱いものなのですが)。