酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

4teen

石田衣良著(新潮社)ASIN:4104595012
4人の14歳が出会う8つのエピソード。お話は大変面白いのですが、これが現在の中学生のポジションだとしたら、早々に疲れ果ててしまわぬかと心配になります。特に最後の方のシーンでの交わされる会話に「これからへたれそうになっても、この仲間との思い出があれば乗り切れる」といった意味のものがありますが、未来には辛いことしか待ち構えていないかのような言い回しが、気になるところではありました。
まあ、これはオトナの作者による、コドモの設定を使った、オトナの為の作品だと割り切れば、そうそう拘る必要はないのかもしれませんが。
タイトルの "4teen" は "fourteen"(14歳) と "4 teens"(4人の10代) の両方を掛けたものなのでしょう。最初読み始める前は更に "for teens"(10代のために) も掛けているのかと思いましたが、この作品が現代の子供達の「リアリティ」を描いているのかどうなのかわからないので、残念ながら私には判断はし兼ねます。
なお8つのエピソードの中で私が一番気に入った(といいますか、引っかかった)のは「空色の自転車」という一編でした。