酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

カクテルについて - その魅力

白状すれば、私は昨年まではほとんどカクテルを飲みませんでした。もっぱらビールやシングルモルトといった方面ばかりを守備範囲にしていたのです。特にカクテルを避ける深い理由はなかったのですが、なんとなく手を出しかねていたというところでしょうか。
それが昨年の暮れにちょっとしたきっかけがあって、幾つかカクテルのレシピを考えたのですが、そのとき初めて意外と面白いということに気が付きました。飲み物には不適切な表現なのですが、ちょうど化学の実験をやっているような感じでした。そして今年になり、上記のようなきっかけを得てより熱心にレシピを考え始めました(といっても、お店にいる間だけですが)。
ベースとなるお酒そのものの上に、いろいろな副材料を積み上げてゆき味の輪郭を考えるのは、それだけでも楽しめます。加えてビルド、シェイク、ステアといった作り方や、色具合、口ざわり、グラスの形などひと時の楽しみとしては贅沢な要素に満ちています。そして創り出された結果は、そのときにしか味わえない一品で記憶の中にしまわれていくだけのものです。レシピはコピーできますが「その一品」は決して再現できません。これもまたカクテルの魅力の一つでしょう。

またカクテルの魅力は、味や見かけだけにとどまりません。その命名もまた大きな楽しみの一つです。名前から先に思いつく場合も多々あります。その場合は名前のイメージを膨らませながら、色々な組立を考えます。もちろん味のイメージの方が先にあって、出来上がったカクテルに名前をつける場合もあります。

今回は長文でした。ここまで読んでいただけた方に感謝いたします。