酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

Mon.

必要なデータのバックアップをとり、SS3010CTへ移行。移行作業そのものは順調に進むが、つい手許にあった Windows98 Upgrade を SS3010CT へ適用しようとして、ハマる。東芝のサイトにあった情報によれば Dynabook 3000 シリーズは BIOS のアップグレードはいらないということだったので(マシンにも Designed for Windows98のロゴが貼ってある)、素のアップグレードパッケージを入れてみたのだが、スリープ機能の付近がうまく動作しないようだ。ともあれ SS3010CT 用の 無償Windows98 アップグレードキットは注文しなければ。

一つ気になったこと。Windows98 にシステムをアップグレードした後、Windows95 対応アプリケーション FrontPage98 をインストールすると、何も言わずに Windows98 のシステムコンポーネントを古い版で置き換えてしまうらしい。Windows98 が「システムコンポーネントが古くなったので自動修復が終わるまで正常に動作しないかもしれない」と言ってくるのである。再起動すると、確かにコンポーネントを新しくしてくれる(元の状態に戻すというだけだが)ようであるが、しかしこの話は全くいただけない。

そもそも Microsoft は自らのアプリケーションの配布と同時に、システムコンポーネントの機能を調整したり、バグを取ったりしているのである。このためにうっかり ツールをインストールすると、利用者はアプリケーションを入れただけのつもりなのに、OSの部分にまで影響が及んでしまうのである。もちろんこれを嫌って慌ててアンインストールしたりすると更なる悲劇が待っているというのは、経験した人にはおなじみの経験だろうと思う。しかも、こうして目に見えないところでシステムの仕様が少しずつ変わっていくせいで、アプリケーションを作る第三者もいい迷惑である。

しかしなんということだろうか。MS は今回の Windows98 へのアップグレードで、Windows3.1 の息の根も止めたいらしいが、場合によっては BIOSを入れ替えたりしなければならないような、きわめて自動化しにくい作業をあえて企業の担当者が行うだろうか。しかも、今まで動いていた(95 も含む)アプリケーションが動かなくなる危険まで侵して。

今でも複数の種類の word や excel の混在問題が解決していない(どれだけ多くの企業が office95 に留まったままか)。こうした現状を見ると、いよいよ構成管理の問題で MS は破綻するのではないかという心配が沸いてくる。つまり Windows の敵は Windows 自身ということなのである。

結局 Windows は Office と IE を実行するためだけの基本ソフトウェアという割り切りで考えれば Windows も割り切って使えるかもしれないのだが、少なくとも「アップグレード」したりする対象ではなくなりそうだ。アップグレードに消費される個々人の作業時間は馬鹿にできない。何か本格的な保守作業をしようとすると、丸一日かかりなのである。これは非生産的な労働の対価としては高すぎると感じる人もいるだろう。

結論:

Windows のアップグレードとはちょうど車のエンジンを載せかえるようなものである。しかも完全に互換ではなく、エンジンルーム内の調整が必要だったりする難物である。しかしがっかりすることはない、普通の人が車を買ってもエンジンを乗せ換えたりしたりしないように、普通の計算機ユーザーも Windows のアップグレードをするべきではない。そうしたければ代わりに、新車(新しい計算機)を買うべきである。かくして計算機産業は繁栄する。