酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

Every cloud has a silver lining.

Silver Lining

Every cloud has a silver lining.

どんなに困難な状況にも希望はある。

直訳すると、「全ての雲(cloud)には、銀色の裏当て(lining)がある」ということですが、この場合の "siliver lining" は「黒い雲の縁に出ている光の輪郭」を指しています。

冒頭の写真のような状況を見ていただければ、この言葉の意味がわかりますね。

ここから転じて、「どんなに困難な状況にも希望はある」というような意味になったようです。

これは希望をもたせて励ます言い方ですが、実は逆に気を引き締めるような注意を促す言い方もあります。

例えば

There are clouds around the silver lining.

とか

Every silver lining has a cloud.

といった表現になると、今度は

「どんなに良い状況にも、悪く転じる可能性がある」

「良いことには悪いことがつきものだ」

「楽あれば苦あり」

といった意味になるようです。

 

the writing on the wall

Do not write on the walls sign, Duomo, Florence, Italy

the writing on the wall

嫌な予感、不吉な前兆

 最初この表現を見たとき、「壁の落書きか?」と思いましたが、それでは意味が通じません。調べてみると、これは「予感、前兆」といった意味なのですが、特に悪い事が起きる場合を意味しているのです。

He could see the writing on the wall months before the business failed.

その事業が駄目になる何ヶ月も前に、彼は良くない予兆に気が付くことができた。 

なぜそんな意味になったのかというと、旧約聖書の物語にさかのぼるようです。

Wikipediaの記述より:「ベルシャザールの饗宴」

新バビロニア王ナボニドゥスの子ベルシャザルが、エルサレムの神殿(ソロモン神殿)を破壊し略奪してきた金銀の器を使用して、豪勢な酒宴を開いていたところ、突然人間の手があらわれ壁に謎の文字を書き残した。 

この書かれた謎の文字が「滅亡」を予言していたそうなのです。

そこから "the writing on the wall" (壁の上の書き込み)が「不吉な前兆」となったようですね。

なおこの「ベルシャザールの饗宴」は旧約聖書のダニエル書の第5章です。

ダニエル書 - Wikipedia

様々な画家がこのエピソードを絵にしていますが、たとえばレンブラントが描いたこの絵も有名な一枚です。

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レンブラントによる「ベルシャザルの饗宴」

 

party like it's 1999

Paris Ontario - Canada - Four Corners - Downtown - Heritage Town

party like it's 1999

まるで今日がこの世の最後の日のように弾けたパーティを行う

とあるニュースサイトを読んでいたときに出てきた表現ですが、「1999年のようにパーティしよう」では意味がわかりません。

お馴染み Urban Dictionary によれば

to party like there's no tomorrow. Live like today's your last. In the 1983 Prince hit "1999" he refers to "2000-0-0 party over, oops - out of time" so tonight he "parties like it's 1999". This became a catch phrase in the American lexicon.

という定義が見つかりました。

1982年にプリンスが発表した楽曲に出てくる「2000-0-0 (2000年になった瞬間)にはパーティが終わる。おっともう時間がないぜ」という歌詞から「今が1999年だと思って思い切り楽しもう」という意味になったようです。アメリカ英語の常套句のようですね。

プリンスの "1999" のリンクを下に貼っておきます。

www.youtube.com

 

Quora も見てみました

What does party like 1999 mean? - Quora

It means to throw a wild party. The expression is dated and comes from an old Prince song that obviously was written before 1999. The idea was the last party of the 20th Century. Some, in those days, also believed that the end of the century might coincide with the end of the world, so party like it’s the last party of your life.

 やはりプリンスの"1999"から来ていると書いてありますね。1999年のパーティとは20世紀最後のパーティということですが、当時は世紀の終わりと共に世界も滅亡するという風潮もあって、20世紀最後のパーティ=人生最後のパーティという意識から「明日のことなど気にせずにパーティをする」ということになったようです。

* ところで20世紀は2000年の年末まで続いたのですけどね(笑)

日本でも 1999 年は世界滅亡の年だと信じていた人が少なからずいたことを思うと、洋の東西を問わず終末に心惹かれるひとたちは一定数いたのですね。

 

Whatever floats your boat.

CAFNR Float Your Boat 2015

Whatever floats your boat.

どうぞお好きなように。

勝手にしろ。

 float one's boat という表現は直訳では「誰かの船を浮かせる」という意味になりますが、そこから転じて「誰かの興味をひく」「誰かをワクワクさせる」という意味になりました。

それに whatever がつくことで「ワクワクすることならなんでも」→「お好きなように」という意味になったということのようです。

なお代名詞として「好きなものならなんでも」という意味でも使われます。

A:"I prefer boys to girls" (女の子より男の子の方が好きだ)

B:"I just like girls but whatever floats your boat is fine with me". (私は女の子がいいけど、君の好みはどちらでも結構)

同じような意味として

Suit yourself

という表現もあります。この場合は「自分自身に合わせろ」→「好きなようにしろ」という意味ですね。

 

FOMO と JOMO

Fear of the Dark

FOMO と JOMO

日本では聞き慣れない言葉ですが、少し前(2015年〜2016年頃)から米国で流行り始めた言葉のようです。

FOMO = fear of missing out

すなわち、SNSなどで何かを見逃して(missing out)しまうことを恐れる(fear)という意味です。

FOMOのために、FacebookTwitterを開き続けていなければ不安に陥るという現象なども見られたようです。

そして、この反動として生まれたのが JOMO です。

JOMO = joy of missing out

直訳すれば 見逃すことの喜び。 すなわち情報の洪水を逃れ、静かに過ごすことの喜びを表しています。