酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

lose steam/run out of steam

Steam

lose steam/run out of steam

何かを継続して続けるエネルギー、モチベーション、熱意が失われてしまうこと。

例文:After spending hours working on this project, I'm running out of steam—can we take a break?

和訳:何時間もこのプロジェクトで働き続けて、疲れちゃったよ。休憩しないか?

 

steam というのは「蒸気」です。ではその蒸気が失われるというのは ... エネルギーや気力が失われるという意味の表現になります。なんだかサイバーパンクめいていますね。

worth one's salt

Salts

worth one's salt

報酬に見合う働きをする

 サラリーマンの「サラリー」の語源はラテン語の “salarium” に由来するのですが、それはもともと古代ローマで使われていた「塩(salt) を買うための手当」あるいは「給料の一部としての塩」を意味するそうです。

ともあれ「塩」(salt)は仕事の報酬に関わっているようです。

worth one's salt という表現は、「その報酬に見合った価値がある」という意味になります。

Any teacher worth his salt is able to inspire his students.

その報酬に見合う教師ならその生徒たちを触発できる。

I'm confident enough to know I'm worth my salt around here. I make a lot of money for this company.

私はここでは報酬に見合う仕事をしている自信があります。会社のために大いに稼いでいるのですから。

 参考:

The expression to be worth one’s salt, which means you’re competent and deserve what you’re earning, is most often said to have its roots in ancient Rome, where soldiers were sometimes paid in salt or given an allowance to purchase it. The word salary is derived from the Latin “salarium,” which originally referred to a soldier’s allowance to buy salt.
(Elizabeth Nix. Where did the expression “worth one’s salt” come from? Ask History. October 15, 2014.)

 

cosmonaut と astronaut

Everyday is ‪#EarthDay‬

ソユーズの発射失敗の記事を読んでいたら以下のような文章に出会いました。

Astronaut Nick Hague and cosmonaut Aleksey Ovchinin landed safely some 250 miles away from the launch site after the capsule detached about 90 seconds into launch and deployed its parachute.

techcrunch.com

 

文中の cosmonaut と astronaut の日本語訳はどちらも「宇宙飛行士」ですが、実は前者は主に旧ソビエト・ロシア系の宇宙飛行士を指し、後者は主に米国系の宇宙飛行士を指します。

なので、この記事のNick HagueはNASAアメリカ)の宇宙飛行士で、Aleksey Ovchinin はロシアの宇宙飛行士だということがわかります。

なお両者に共通する -naut は、どちらもギリシャ語の ναύτης (nautis 船乗り)から来ているそうです。

cosmo はもともとギリシャ語で「κόσμος 宇宙」、astro はもともとギリシャ語で「ἀστήρ 星」を意味しますので、どちらも宇宙や星に向かう船乗りという意味になりますね。

なおロシア語の側でも

  • астронавт  (astronautに相当)
  • космонавт (cosmonautに相当)

という具合に単語が分かれているそうです。

余談ですが日本の「鉄腕アトム」は海外では "Astro Boy" という名前です。

アトムは「原子」ですが海外では「星の男の子」という意味なのですね。

補足QA

What's the difference between an astronaut and a cosmonaut? - Quora

 

 

handsome fool

 

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画像引用:A clever, ugly man every now and then is successful with the ladies, but a handsome fool is irresistible.

handsome fool

* これは2年前に書いて公開して居なかったブログ記事です

 

とある文章を読んでいたら "handsome fool" という表現が出てきて、良くわからない熟語だなあと思っていて色々調べたのですが、なかなかピンとくる説明に出会えませんでした。

handsome fool というのはその辺の辞書には載っておらず、検索するといくつかヒットするのですが、歌や本や記事のタイトルだったりして、既に handsome fool というのがどう言う意味かを知っている前提で書かれているので、いまひとつピンと来ませんでした。

で、検索するうちに「ハンサムなバカ」と「頭の良いブオトコ」のどちらが良い?といった身も蓋もないディスカッションフォーラムに行き着きました。そこでは hasdome fool は文字通り「ハンサムな(顔の良い)バカ」という「素直」な解釈のようでした。

で、結局もとに戻って、最初に読んでいた文章でどうなっていたかと言えば:

「xxxについてはxxxって書いたあったよ、you handsome fool」

というような使われ方だったのでした。文脈としては「やや軽いからかうような罵倒」を行っているものに見えました。まあこれはやはり「相手を持ち上げながら貶している」ということなのでしょうかね。顔の見えない相手に対するやり取りですので、慣習的なちょっとしたからかい言葉なのかも知れません。

 

2018/10/08 追記

上では「ハンサムなバカ」を直接的な意味として挙げていますが、改めて検索してみると、そうした直接的な利用方法は少なく、むしろ(1)「バカ」という直接的な言い方の語感を和らげるために使われたり(上で私が見た用例)、(2)「中身のことは問題にしなくても良いハンサム」というニュアンスを出すために使われているケースが多いような気がします。

Pinterest の以下のようなページは、そうした「イケメン上等(中身なんか気にするな)」というニュアンスが存在することを示唆しているいるような ... ?(笑)

(このページのタイトルは冒頭に挙げたサッカレーの引用から来ているのかも知れませんね)。

www.pinterest.jp

吟行・句会必携

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久しぶりに訪れた近所の書店で、詩歌の棚を眺めているときに目に止まった書籍です。テーマ毎に類似の(というか連想させる)言葉が並び、それらを用いた俳句の例が書かれています。季節ごとに整理された歳時記とは異なり、上の写真にあるように例えば「庭園」という大きな見出の下に様々な連想させる言葉がならんでいます。(*マークが付いている言葉は季語でもあることを示しています)。

「吟行・句会必携」という書名は伊達ではなく、コンパクトで軽い装丁で気軽にカバンの中に入れて持ち歩くことができます。

一種の類語辞典と考えることもできますが、類語辞典と違うのは言葉の説明は書かれていないということです。主に俳句のための発想を得るという目的のためには、言葉で書かれた説明を離れて、言葉そのものの字面や響きを頼りに逍遥するのもまた楽しい体験でしょう。フリガナがふられているのもその目的に沿ったものでしょう。

別に詩作をせずとも、パラパラとめくっているだけで様々な言葉に出会える楽しい書籍です。とりあえず自分のカバンにも入れています。掲載された様々な俳句を読むうちに、朴念仁の私でも何か詠みたくなるかもしれません(笑)。

吟行・句会必携

吟行・句会必携