酔眼漂流読書日記

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mittere

Involuntary Commitment

(2015年3月にFacebookに書いたメモの再投稿です)

ラテン語の mittere (英語では put または send に相当する)から派生した言葉が沢山あるなと思った今日。

最初米国に住む友人から貰ったメールに commitment という単語が出てきたのが始まりでした。今度日本に行くから時間が合えば会おうという話なのですがもしその日に commitment が既にあるようならまた次回という文章でした。もちろんこの commitment は「先約」位の感じでしょうか。英和辞典をみると「破れない約束」という強い意味が書いてあってぎょっとしますが、まあもう少し気軽に使っても良い感じです。

さて、この commitment は commit という単語から来ているわけですが、ではこの commit とはどんな意味?と調べてみると

  1. 何かの状態へ送り込む
  2. ある誓いや方針に従う
  3. (何かあまりよろしくないことを)やらかす

という感じ。(1) はオープンソースの comitter といった意味でご存知の方も多いでしょう。(2) は日本語の会議で「あなたはどれ位コミットするのですか?」などと使われています。でもコミットはするかしないかなので、どれ位コミットするのか?という問いは本来変な気がします  
(3) は commit suicide (自殺する)とか commit a crime (犯罪に手を染める)といった言い回しを良く見かけます。

さて、この commit の語源は?ということで冒頭のテーマに戻るのですが、ラテン語の com + mittere から来ていると辞書にはあります。 com- は色々な動詞について、 with (共に、全て)といった意味を与えるそう。


なので 「何かに対して与える/送り込む」というのが本来の意味で、そこから上の (1), (2), (3) の解釈に繋がるような意味になったようです。

ここでふと -mit' という単語は他にもあるなと思って調べてみたら

transmit ... 伝達する
submit ... 提出する
remit ... 支払う
dismiss ... 追放する

なども皆同じ mittere から来ているということが分かりました。
最後の dismiss が mit で終わっていないのはラテン語の過去分詞形から来ているからだとか。

今回の話題は英単語を個別に覚えるやりかた以外に、語幹に接頭語を組み合わせて覚えるやり方もあることを示唆してくれます。 今回の場合だと mit に trans, sub, re, dis を組み合わせて覚えるというやり方をしておくと、他の知らない英単語の意味の想像もつきやすくなったりするかもという次第。

 

まあ語源を軸に英単語を覚えましょうというのは、別に新しい話でもなんでもなくて、例えば以下のような本も出る位ポピュラーな手段ではあります。

語源でわかった!英単語記憶術 (文春新書)

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参考にした辞書
New Oxford American DIctionary
Oxford Dictionary of English 
Oxford American Writer's Thesaurus