酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

無意味な音

頭を使う作業や読書をするときに音楽は聴かないことにしています。どのような音楽でも、基本的に作曲者の意図が入り込んでいる以上、流し聞きを続けることはできず、どこかでなんらかの「ひっかかり」が生じて意識が中断するからです。もちろんこれは私個人の経験に過ぎませんけど。

一方音楽を聴きながら創作をするという話は時々聞くものの、これは逆に脳内処理に無理やりにでも淀みを作り出して、凝り固まった創造のベクトルをほぐすという役割を果たさせるのかもしれませんね。

ともあれ、通常の読書や集中作業に音楽は不要なのですが、完全防音室に住んでいるのでもない限り、作業環境や読書環境に、音楽や意識の集中に介入してくる「音」が紛れ込んでくることは防ぐことができません。

ひたすら集中力を高めれば、まわりの音が遮断されて気にならなくなる、ということもあるのですが、体調などにより集中力がそれほど高まらないこともあります。最近こうした場合によい手段をひとつ見つけました。

それは「無意味な音」を流しておく、というものです。たとえば雑踏の音、滝の音、森の音、扇風機の音、川の音、単調な機械音、などなど。

以下に紹介する二つのソフトウェア(iPod Touch/iPhone 用)はこうした「無意味な音」を流してくれるアプリケーションです。

最初は Ambience

様々な自然音源や機械音などが入っています。
私のお気に入りは "Coast" という、微かな鳥の鳴き声も入った海岸の音と、Wind という風の音です。


ふたつ目は、実際にある音ではなく、所謂「環境音楽」に分類されるものです

Bloom - Generative Music - Creative apps for the iPad, iPhone and iPod touch
こうした分野では著名なブライアン・イーノが、プログラマと組んでリリースしたもので、無限に続くヒーリングサウンドが展開します。上の Ambience と違い、利用者が iPhone のタッチパネルなどに触れると、それが音の種として取り込まれ、徐々に変化して行きます。非常に緩慢に動作する楽器と考えることもできますね。
ただ自分で介入してしまうと、少なくもしばらくの間は自分にとって意味のある音が聞こえて来るので、当初の目的である「聞き流しのための音」という主旨からは少し離れてしまいます。