酔眼漂流読書日記

本と音楽と酒場と言葉

冬のオペラ 中公文庫

北村 薫 (ASIN:4122035929)
自ら「名探偵」を肩書きにする「巫弓彦」が活躍する推理小説です。探偵のタイプとしては「円紫さんタイプ」で、状況を一通り聞き終わると事件が解決しているという展開です。この本に短編が2編と、中篇が1編。「冬のオペラ」は最後の中編のタイトルでもあります。この本には今のところ続編がありません。この一冊だけを読んだ印象だと、やっと探偵とワトソン役の女の子のキャラクターも安定して、これからもう一段飛躍するという段階です。
ここまでに読んだ北村氏の作品の中では、一番諧謔味のある主人公(探偵)だと思いました(何しろ「名探偵」では商売にならず、普段はいろいろなところでアルバイトもこなしているのです)。ここでシリーズが終わってしまうのは勿体ない。是非続きを読んでみたいものです。